一段と寒くなり空気が乾燥する季節になりました。 透析患者さんの 60 ~ 80% の人が体の痒み ( 掻痒症 ) を訴えられています。 痒みを引き起こす大きな原因は尿毒症性物質の蓄積ですが、 その他の原因として皮膚の乾燥 ( ドライスキン ) など皮膚の異常や、 血清カルシウム、リン、副甲状腺ホルモンの数値の上昇、ダイアライザーと 血液の接触により生じる補体の活性化、中枢神経内の痒み制御異常などが関係します。 また、透析患者さんはドライスキンが 90% と高頻度に認められます。 ドライスキンになることで皮膚のバリア機能が低下し、 痒みを伝える神経 (C 繊維 ) が皮膚の表面近くまで伸びてくるため、 外界からの刺激や異物に対して敏感になり痒みを感じやすくなります。 そして痒みによって掻くと皮膚が炎症を起こし、 更に痒くなり掻いてしまう itch-scratch-cycle という悪循環になってしまいます。 痒みと一言で言っても様々な原因が関係しているため、 難治性となりやすいです。 そのため痒みの予防は原因別に総合的に行います。 まず大切な透析を行って痒みの原因となる尿毒症性物質を除去します。 ドライスキンに対しては保湿剤を使用し、 低下している皮膚のバリア機能を改善して 皮膚の表面近くまで伸長した C 繊維を元に戻し、痒みを感じにくくします。 更に入浴や冷暖房などでドライスキンや痒みを生じさせないために 生活習慣を見直すことも必要です。