抗凝固薬
今回は抗凝固薬についてお話です。 『抗』凝固?凝固しない薬? そんなのどこで使うんだと思いますよね。 透析において、血液が回路やダイアライザーなどの 異物に触れると反応を起こし、何もしなければ回路の中で 血液が固まってしまい体外循環が出来ません。 そのため透析中は何らかの抗凝固法(血液を固まりにくくする方法)がとられています。 また透析患者さんは皮下出血、消化管出血、脳出血など 出血性病変がしばしばみられる為、 抗凝固法の選択が重要になります。 抗凝固法が過少だと凝固を起こしてしまい、 過大だと出血傾向を招いてしまうのです。 血液凝固について血小板は聞いた事があるかもしれませんが、 もう一つ血液の中に止血に関わる複数の物質(血液凝固因子)があります。 異物と血液が接触すると、 血液凝固因子と血小板が活性化され凝固が起こります。 抗凝固法ではこの血液凝固因子を抑制する薬(抗凝固薬)が使われます。 透析中は主にシリンジ(注射器)に抗凝固薬を入れ、 持続的に注入して血液を固まりにくくしています。 また抗凝固薬は場合に応じて色々な種類を使います。 抗凝固薬の種類と特徴 ◦ヘパリン ・強力で安定した抗凝固作用を持ち、取り扱いが容易。 ・出血傾向の助長がある。 ◦低分子ヘパリン ・血中の減少が緩やかな為単回投与が可能。 ・ヘパリンと比べて出血傾向の助長が弱い。 ◦メシル酸ナファモスタット(FUT) ・手術前や出血病変を有する患者さんの抗凝固薬として有効。 ・血中の減少が早く、透析により約40%除去される。