血液中には100種類以上の蛋白質が存在していて、これらの総和が総蛋白(TP)です。 透析患者さんは食事摂取量減少、蛋白尿、慢性炎症、胃腸障害などにより 血症総蛋白が低値なことが多いです。血漿総蛋白の中でも アルブミン(Alb) は 全血漿蛋白の50~60%を占める最も豊富な蛋白質で、臨床上、栄養状態の指標 として用いられることが多いです。 実際に血清アルブミン値が透析患者さんの生命予後と関係することが明らかになっています。 アルブミンは肝臓で作られ、血管内に水を保持する働きが最大で、 様々な物質の運搬、浸透圧の維持、各組織へのアミノ酸の供給、 pH緩衝、酸化還元緩衝など様々な役割を果たします。 アルブミンが目標値外となる原因として合成の低下(肝硬変、炎症性疾患)、 尿や便への喪失(ネフローゼ症候群、蛋白漏出性胃腸炎)、 消費の亢進(甲状腺機能亢進症、炎症性疾患)、栄養不足などがあげられます。 とくに透析患者さんにおいてはまず「慢性炎症」と「栄養不足」の 可能性を考える必要性があります。アルブミンが低値の場合、 C反応性蛋白(C-reactive protein:CRP)が正常で慢性炎症の可能性が 否定されたらnPCRを含む「経口摂取アセスメント」が推奨されます。 標準化蛋白異化率(normalized protein catabolic rate:nPCR) は 血中尿素窒素(BUN)の値を用いて算出される蛋白摂取量の推算値で、 蛋白質の摂取量を把握するために用います。 nPCRが低値であるということは、その患者さんの食事における 蛋白質摂取量が不十分な可能性があります。nPCRが低値であった場合、 具体的な食事の調査を行うことが推奨されます。 いずれの指標も絶対値のみならず、経過が重要です。