投稿

ラベル(メディカルブログ)が付いた投稿を表示しています

痛み止め(鎮痛薬)について

イメージ
  今回のテーマは痛み止め ( 鎮痛薬 ) について 痛み止めの作用 非ステロイド抗炎症薬 (NSAIDs)   シクロオキシゲナーゼ (COX) を阻害して、炎症にかかわるプロスタグランジンの産生を抑え、抗炎症・鎮痛作用をもたらします。またプロスタグランジンは体温を上昇させる作用もあるため、プロスタグランジンの産生を抑えることで解熱作用があります。 COX-2 非選択性の NSAIDs は腎血流を低下させたり、胃の粘膜液を減少させるため、腎障害や消化管障害の副作用に注意が必要です。 非ステロイド抗炎症薬 (COX-2 選択的阻害薬 )   COX-2 非選択性の NSAIDs と異なり、炎症や鎮痛にかかわるプロスタグランジンのみを阻害するため、生理的機能への副作用は少ないとされています。 非ピリン系解熱鎮痛薬   脳の視床下部にある体温調節機構にはたらき、熱を下げます。視床と大脳皮質で痛みを感じる部位で痛みを感じにくくします。 神経障害性疼痛治療薬  痛みを脳に伝える神経の興奮を抑え、痛みを感じにくくします。 痛み止めの種類 非ステロイド抗炎症薬 薬剤名 一般名 特徴 ロキソニン ® 錠 (NSAIDs) ロキソプロフェンナトリウム水和物 体の中で代謝されてから効果を発揮するため、消化管への負担が少ない。空腹時の服用は避ける。残存腎機能がある人は、腎臓への血流低下で腎機能低下、尿量低下を招くことがある。 ボルタレン ® 錠 (NSAIDs) ジクロフェナクナトリウム 多くの剤形がある。残存腎機能がある人は、腎臓への血流低下で腎機能低下、尿量低下を招くことがある。インフルエンザではライ症候群を起こす可能性がある。 セレコックス ® 錠 (COX-2 選択的阻害薬 ) セレコキシブ 長期使用により、心筋梗塞、脳卒中などの心血管系血栓塞栓事象の発現を増加させる可能性がある。 非ピリン系解熱鎮痛剤 薬剤名 一般名 特徴 ...

しょうじゅの里三保で、透析シャントの勉強会を行いました!

イメージ

下剤について

イメージ
  今回のテーマは下剤について   透析患者さんと便秘 透析患者さんは高齢化や食物繊維・水分の不足、 透析による除水、便秘になりやすい薬剤などが原因で便秘が起こりやすいです。   下剤の作用 現在様々な作用の下剤があり、患者さんの個々の病態に応じたものを選択することが大事です。 〇浸透圧下剤 腸管内の浸透圧を上げ、水分を増加させます。 塩類下剤  腸管内で難吸収性の重炭酸または炭酸塩になります。これらにより腸管内の浸透圧が上がり、腸管内に水分が取り込まれ、便が軟らかくなって容積が増して排便が誘発されます。 糖類下剤  体内に吸収されずに大腸に達し、浸透圧作用により腸管内への水分移動を促進し、便を軟らかくします。また浸透圧を高めるとともに腸管の蠕動運動を促進します。 ポリエチレングリコール製剤  高い浸透圧効果によって保持した水を大腸に届け、排便を誘発します。 〇大腸刺激性下剤 大腸腸管内で粘膜を刺激して腸管の蠕動運動を促進して、排便を促します。 〇上皮機能変容薬 腸管内への水分分泌を促進して便を軟らかくして、腸管内容物の移動が促進されることで、排便を促進します。 〇胆汁酸トランスポーター阻害薬 胆汁酸の再吸収を阻害して、胆汁酸が大腸へ移行します。移行した胆汁酸により、大腸内の水分分泌と大腸の運動が促進され、排便を促します。 〇末梢性μオピオイド受容体拮抗薬 オピオイド鎮痛薬を使用すると、消化管では腸蠕動を抑制します。この薬剤はμオピオイド受容体に作用し、オピオイドの便秘誘発作用をブロックします。 〇直接刺激性下剤 直腸を刺激し、排便反射を促します。 〇経口腸管洗浄薬 水様便を排泄することで、腸管の内容物の排除・洗浄効果があります。   下剤の種類 塩類下剤 薬剤名 一般名 特徴 酸化マグネシウム錠 酸化マグネシウム 水とともに服用すると効果がより出やすくなる。マグネシウムの排泄が低下し高マグネシウム血症を引き起こす可能性があります。 糖類下剤 薬剤名 ...

皮膚掻痒症治療薬

イメージ
  今回のテーマは皮膚掻痒症治療薬について   透析患者さんと痒み 痒みは透析患者さんの皮膚合併症の一つで、透析患者さんの約7割にみられます。痒みには透析由来、皮膚異常、末梢性起因、中枢性起因の4つの要因が関与し、全身のどこにでも発症します。  透析患者さんの皮膚掻痒は、尿毒症由来の起痒物質によって引き起こされる痒みだけでなく、皮膚の乾燥による痒みや患者さんがもともともっているアレルギーによる痒みなど、様々な病状が組み合わさって生じています。   皮膚掻痒症治療薬の作用 抗ヒスタミン薬 アレルギーを引き起こす抗原が体内に入ることで、肥満細胞からヒスタミンなどが遊離されます。遊離されたヒスタミンが H 1 受容体 ( ヒスタミン受容体 ) に結合することで、アレルギー症状が発症します。抗ヒスタミン薬は、ヒスタミンが H 1 受容体に結合することを抑制します。 オピオイドκ受容体作動薬 痒みの発現に関与する神経には、内因性オピオイド受容体のμ受容体とκ受容体が存在します。μ受容体の活性化により痒みが発現し、κ受容体の活性化により痒みが抑制されます。オピオイドκ受容体作動薬は、κ受容体を活性化することで痒みを抑制します。 保湿薬 透析患者さんは皮膚への水分が低下していて、角質の水分量が低下して乾燥が起こります。乾燥が進むと皮膚バリア機能が低下して、痒みを伝達する神経 (C 繊維 ) が表皮まで伸び、痒みを感じやすくなります。保湿薬は吸湿し、角質に水分を付加します。   皮膚掻痒症治療薬の種類 抗ヒスタミン薬 薬剤名 一般名 特徴 レスタミンコーワ錠 ジフェンヒドラミン塩酸塩 錠剤、クリーム。閉塞隅角緑内障や、前立腺肥大症などによる尿路閉塞性疾患を有する患者には禁忌。眠気を起こすことがあり、運転を控える。抗ヒスタミン薬の中で最も眠気が強い。 ポララミン ® 錠 d- クロルフェニラミンマレイン酸塩 錠剤、散、ドライシロップ、シロップ、注。閉塞隅角緑内障や、前立腺肥大症などによる尿路閉塞性疾患を有する患...