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透析中のダイアライザー凝固

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  今回は透析中のダイアライザー凝固について   血液凝固のメカニズム 透析中は 血液がダイアライザーや回路などの人工物 ( 異物 ) に接触するため、生体内との環境が異なり血液凝固が起こりやすくなる ことが透析中に血液凝固するお主な原因です。 血液の凝固を防ぐために、適切な抗凝固薬の投与が重要です。しかし、適切な抗凝固薬を投与していても患者さんの病態や脱血不良などの要因で血液凝固が進むことがあります。 1.   患者さん側の要因  患者さんの病態によって血液凝固が亢進した状態になることがあります。例えば、 炎症状態 ( 風邪 ) や脱水、脂質異常症、血管内皮細胞障害に起因した凝固因子の活性、適切な抗凝固薬が投与されていない場合 血液凝固リスクが高まります。 2.   回路内やダイアライザーでの凝固要因 脱血不良や静脈圧 ( 回路内の圧力 ) の上昇、回路の屈曲 など、乱流が生じる箇所では血液凝固リスクが高まります。再循環を起こしている場合も血液粘度が上昇し、凝固しやすくなります。 3.   血液浄化器の要因    治療前に 十分なプライミングで洗浄し、充填する ことが重要です。膜素材は生体適合性が高いですが、保体が活性化され血液凝固が誘発されます。 近年では膜表面のビタミン E コーティングや平滑化などの技術で生体適合性が向上し、血液浄化器の凝固が起こりにくいです。   【主な原因】 ・抗凝固薬の投与不足 ・血液流量不足 ・血液凝固能亢進 など   凝固の対策 患者さんの要因として、病態や血液データから凝固のリスクが高い場合は、 抗凝固薬の投与量の増量や薬剤変更 を検討します。また脱血不良や圧力をモニタリングし、問題ある場合は 留置針や血液回路の屈曲を確認 します。また安定した血流を確保するためにはシャントの評価を行うことも重要です。   血液凝固は治療効果の低下や失血など患者さんの負担につながるため、血液凝固の徴候を早期発見することが重要です。

酢酸不耐症

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  今回のテーマは酢酸不耐症について 酢酸不耐症って何?   酢酸不耐症 とは、透析液中の pH 調整剤として使用される酢酸や、アルカリ化剤として添加される酢酸ナトリウムによる 酢酸イオンに対して、血圧低下や不快症状などの反応を起こす状態 をいいます。  現在主に使用されている重炭酸透析液には、製剤安定のための pH 調節として少量の酢酸が添加されています。少量の酢酸は体内で代謝されて問題ありませんが、代謝能力が低下している患者さんは血中酢酸濃度が上昇して、症状を引き起こす場合があります。   酢酸による血圧低下   酢酸には血管拡張作用や心機能抑制作用があります 。酢酸は主に 肝臓で代謝 されるため、肝機能が低下している患者さんは酢酸の代謝が遅れ、血中濃度が上昇することがあります。また酢酸の一部は筋肉でも代謝されるため、高齢者や糖尿病患者さんは代謝機能の低下や筋肉量の減少によって、酢酸を十分に代謝できずに酢酸不耐症を引き起こす場合があります。   酢酸不耐症の患者さんに使用する透析液 カーボスター ® 透析剤   カーボスター ® 透析剤は酢酸を一切含まず、重炭酸だけをアルカリ化剤とした透析液です。 pH 調整用にクエン酸が含まれています。   アセテートフリーバイオフィルトレーション (AFBF) 、バイフィル ® 透析剤   バイフィル ® 透析剤は透析液にアルカリ化剤を一切含まない透析液です。代わりに重炭酸ナトリウム液を補充液とする、血液透析濾過 (HDF) の一種です。

透析患者さんと目の病気(眼底出血)

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  透析患者さんと目の病気 ( 眼底出血 )   透析と目の病気  他の臓器と同様に、目にも血管閉塞に伴う病気や動脈硬化による病気が起こることがあります。 その中でも眼底出血についてみていきましょう。   眼底出血とは  眼底は目の奥にある組織で、 網膜、脈絡膜、硝子体、視神経乳頭部などの総称 です。この眼底部分に起こった出血を眼底出血といいます。  原因としては 外傷や炎症、白血病や貧血などの血液疾患、高血圧や動脈硬化、糖尿病 などが挙げられます。眼底出血のほとんどを糖尿病網脈症、網膜静脈閉塞症、高血圧性網膜症、加齢黄斑変性が占めます。   眼底出血の症状 初期や部位によっては症状がないこともありますが、視力低下を起こすことがあります。視力低下のほかに歪視症や飛蚊症、視野欠損などが起こり、失明に至ることもあります。   検査と治療 検査は目の奥に光を当てて直接観察する直像鏡検査や、散瞳薬を使用して光を当て反射してきた網膜像を観察する倒像鏡検査があります。 出血の程度や場所によって様子観察でよいものもありますが、網膜剥離を起こしている場合は手術が必要です。また全身疾患による眼底出血は、その疾患の治療が重要です。   眼底出血の危険があるときは眼科専門医の診断を受ける必要があります。 透析を行う場合は、抗凝固薬を変更することが必要です。  

食塩の過剰摂取と体重増加

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  今回は食塩の過剰摂取と体重増加について 食塩と口渇のメカニズム   食塩の過剰摂取によって血中のナトリウム濃度が上がると、血漿浸透圧が高くなります。それが視床下部の浸透圧受容体に感知されると、同じく視床下部の口渇中枢が刺激され、のどの渇きを引き起こします。  飲水によって体液が増加すると、血漿浸透圧が正常になり口渇がおさまります。 食塩と体重増加   過剰な食塩摂取は飲水行動を引き起こし、体重が増加します。ほとんど尿が出ない透析患者さんは摂取した水分が溜まってしまい、溜まった水分を透析によって取り除くことで ( 除水 ) 、体の水分を調節します。しかし透析で取り除ける水分には限度があります。  体内の水分が過剰になると、高血圧や浮腫、肺水腫やうっ血性心不全を起こす場合や、急速な除水による血圧低下の原因になります。 食塩摂取量   透析患者さんは日本透析医学会のガイドラインでは 1 日の平均食塩摂取量は 1 日 6g 未満が推奨されています。 減塩で気をつける物 ・ 漬物やキムチ、明太子など …ご飯のおともは食塩を多く含みます。 ・ しょうゆやドレッシングなどの調味料をかけすぎていないか ・ 汁物を毎食飲んでいないか …汁物1杯には 約 1 ~ 2g の食塩が含まれていて、水分量も多くなっています。 ・ 麺類を多く食べていないか …麺類 ( 特にスープ ) には食塩が多く含まれていて、水分量も多くなっています。 ・ 丼ものや寿司、カレーライス、炒飯などの味付きのご飯をよく食べていないか …味がついたご飯は食塩量が多くなります。 ・ 加工食品を使用していないか …加工肉や水産加工品には食塩が多く含まれています。 ・ 間食や飲料の食塩 …菓子だけでなく、ジュースにも食塩が含まれています。  血清ナトリウム濃度は一定に保たれているため、 無尿の透析患者さんは食塩を約 8g ...

リン管理値5.5に!

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【重要】リンの目標値が「 5.5 」に!おいしく食べて、血管を若々しく保つコツ   今日は、皆さんに大切なお知らせがあります。 実は、 リンの管理目標値 が新しくなりました!   ********************************************************************************************************** 1. 新しい目標値は「 5.5 以下 」 これまでは「 6.0 以下 」が管理の目安とされてきましたが、 新しいガイドラインでは 「 3.5 〜 5.5 mg/dL 」 が目標となりました。   なぜ厳しくなったの? それは、リンが高い状態が続くと … 血管がカチカチ(石灰化)になる 骨がもろくなる かゆみが出る など、将来の体調に大きく関わるからです。 ********************************************************************************************************** 2. 「食べるな」ではなく「選ぶ」 「また制限が増えた … 」とガッカリしないでくださいね。 大切なのは、 「効率よくリンを控えること」 です。   特に気をつけたい「隠れリン」 加工食品に含まれる「添加物(無機リン)」は、体への吸収率がなんと 90% 以上! × ハム・ソーセージ × 練り物(さつま揚げ・ちくわ等) × ベーキングパウダー(蒸しパン・スコーン・マフィン等) × インスタントラーメン × チーズ これらは、できるだけ控えると数値が改善します。   ********************************************************************************************************** 3. 今日からできる! 3 つの工夫   ① 「ゆでこぼし」でリンをカット ハムやソーセージはカットしてからさっと茹でこぼすとリンが少し抜けます...

虚血性心疾患

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  今回は虚血性心疾患 ( 狭心症、心筋梗塞 ) について   虚血性心疾患とは  虚血性心疾患とは、心臓に血液が行き届かなくなって心筋の酸素やエネルギーが不足してしまう病気の総称です。代表疾患は 狭心症 や 急性心筋梗塞 があります。透析患者さんは虚血性心疾患の有症率が高く、高頻度で死亡原因になります。     狭心症と心筋梗塞 一般的な動脈硬化は動脈の内膜に血液中の悪玉コレステロールが沈着した状態で、アテローム動脈硬化、粥状動脈硬化といいます。プラークによって血管が狭くなり、これが冠動脈で起こった場合、心臓に供給する血液が少なくなり、 狭心症 を発症します。運動時に胸痛が起こる労作性狭心症と、安静にしていても胸痛が起こる安静時狭心症に分けられます。さらにプラークが壊れ、そこに血栓ができて血管が完全に詰まると、 心筋梗塞 に至ります。 急性心筋梗塞の症状としては、前胸部の痛み、圧迫感、左肩への放散痛、背部痛、心窩部痛などがあります。 予防するには 食事指導や服薬指導で カルシウム、リンのコントロール や 高血圧・糖尿病などの危険因子の管理 をしっかりと行い、動脈硬化を予防することが重要です。さらに、透析患者さんに急に心不全徴候が出たり、透析中に低血圧が頻繁にみられるようになったら、ドライウェイトの調整だけでなく、心血管リスクについても検討します。

血清脂質

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  今回のテーマは血清脂質 ( コレステロール ) について   コレステロールについて コレステロールなどの脂質は血液中で、蛋白と結合した「リポ蛋白」として存在します。リポ蛋白にはいくつかの種類があり、それぞれ独自の作用を持っています。 ( カイロミクロン、 VLDL 、 IDL 、 LDL 、 HDL) LDL( 悪玉コレステロール ) の一部は炎症の原因や、血管壁にコレステロールを沈着させる原因になります。 HDL( 善玉コレステロール ) は血管壁のコレステロールを引き抜く作用を持ちます。 血清脂質の目標値 ・ LDL コレステロール:< 120 mg/dL ・ non-HDL コレステロール ( 総コレステロール- HDL コレステロール ) :< 150 mg/dL ・総コレステロール:≧ 130 mg/dL 目標値は、コレステロールを低下する目的、心疾患の新規発生を予防する目的、心血管疾患の再発を予防する目的や、他の心血管リスクファクターの有無によっても異なります。   コレステロールが高値、低値のとき コレステロール高値では生活習慣の改善、薬物療法などがありますが、透析患者さんでコレステロールの低下によって予後が改善したという報告はあまりありません。また低栄養では総コレステロールが低下します。栄養状態が低下している場合は、積極的な栄養接収が行われます。

標準化蛋白異化率(nPCR)について

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  標準化蛋白異化率 (nPCR) とは  標準化蛋白異化率 (nPCR) は体重 1kg あたりの一日に産生される尿素窒素の量を示していて、食事における蛋白摂取量の指標になります。透析では栄養状態の評価に用いられ、目標値は 0.9 ~ 1.2g/kg/ 日です。   どういうときに変化する? 血清アルブミン値よりも鋭敏に反応し、高値の場合には蛋白摂取量が多いこと、異化亢進状態にあると考えられます。また、低値の場合には食事摂取量、とくに蛋白摂取量が少ないことが考えられます。  日本腎臓医学会で推奨されている蛋白摂取量は標準体重あたりの摂取量ですが、 nPCR は透析後の体重あたりの値のため認識が異なります。   低値の場合の対策 低値の場合には食事内容を把握し、食事摂取量が十分か確認します。食事摂取量が不十分な場合にはどのようにすれば食事量が増やせるか検討し、場合によっては栄養補助食品の使用も検討されます。

重炭酸イオンとアシドーシス

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重炭酸イオンとアシドーシスについて   代謝性アシドーシスって何? 健康な人は血液や体液の緩衝作用、呼吸、腎臓による調節によって、血液の pH( ペーハー ) が弱アルカリ性に保たれています。しかし、腎機能が低下すると、酸の排泄障害が起こり、血中から重炭酸イオン (HCO 3 - ) が失われ、血液の pH が 7.35 以下に低下します。このように 血液が酸性に傾いた状態 を『 代謝性アシドーシス 』といいます。   代謝性アシドーシスの影響 代謝性アシドーシスの症状は、 嘔吐や吐気、疲労感 などや、酸性に傾いた緩衝作用として骨の脱灰や筋肉の分解など、様々な組織障害や細胞機能が生じます。その結果、日常生活動作 (ADL) の低下や生命予後が悪化します。 HCO 3 - が低値の場合は、透析不足や代謝性アシドーシスになる原因の精査が必要です。 HCO 3 - が透析不足のみで低値になるわけではありませんが、十分な透析ができているかどうかを判断するうえで重要な値です。   代謝性アシドーシスの対策 透析患者さんは重炭酸 (HCO 3 - ) などのアルカリ化剤を含む透析液を使用した透析により、慢性代謝性アシドーシスを管理しています。日本では透析液の HCO 3 - 濃度は 25 ~ 35mEq/L に設定されています。

圧力の単位mmHgについて

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  今回は圧力の単位 mmHg について   血圧 ( 圧力 ) の単位 普段血圧が 120 といった数字で言いますが、正確には 120mmHg となります。 [mmHg] は [ ミリメートルエイチジー ] または [ ミリ水銀 ] といいます。   mmHg の Hg とは何でしょう? Hg とは“水銀”のことです。 圧力を測るのに水だと 高さが上がりすぎる ので、水銀を使用した時の高さで表します。 血圧が 120mmHg というのは、針を上がってくる水銀が 120mm 、すなわち 12cm の高さになるということです。 水銀 (Hg) は比重 ( 重さ )13.6g/mL で水の 13.6 倍なので、 水銀圧 120mmHg は水圧に換算すると 120 × 13.6 = 1632mm( 約 163cm ) にもなります。   血液の比重 ( 重さ ) は水とそれほど変わらないので、 血圧が 120mmHg というのは血液を約 163cm の高さまで上げる圧力になります。

静脈高血圧

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  今回のテーマは静脈高血圧について 静脈高血圧とは  シャント血管の狭窄や閉塞が原因でうっ血や血液の逆流が起こると、末梢循環障害によってシャント肢に浮腫・疼痛などの症状が出現します。これを静脈高血圧といい、狭窄 ( 閉塞 ) 部位より末梢側の手が腫れます。   静脈高血圧になると  狭窄の場所によって、 シャント肢全体や手指の浮腫、指先の疼痛、シャント血管の怒張 などがみられます。重症になると末梢の血行障害による潰瘍や壊死を来すこともあります。また再循環により透析効率が低下し、採血データが悪くなる場合もあります。   静脈高血圧の治療  静脈高血圧の原因は狭窄・閉塞のため、治療は狭窄部位に対する経皮的血管形成術 ( PTA ) をはじめとした血管内治療が第一選択になります。コントロール困難な場合は、シャント閉鎖術を施行しなければならないこともあります。     ~ソアサム症候群~  ソアサム症候群はシャントの逆流によって手指が腫れるものです。シャントの吻合部からすぐ中枢の血管に高度の狭窄があると、シャント血が逆流して手首から末梢に腫脹を生じます。ソアサム症候群は側々吻合で発生しやすいです。

スチール症候群

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  今回のテーマはスチール症候群について 血流低下による手指の痛みやしびれ、または冷感 スチール症候群とは  スチール症候群は、手先への血流がシャントに盗血 ( スチール ) されるために起こる血流障害です。末梢に流れるはずの血流がシャントに向かうため、シャント吻合部より末梢の動脈血流が低下し、末梢循環障害を来すことで起こります。 ス チール症候群になると 手先への血流低下による虚血によって、 冷感やしびれ、痛み、末梢のチアノーゼ を引き起こし、重症化すると皮膚の腫瘍形成・壊死を起こします。  透析中は血流ポンプにより血液が吸引されるため、末梢の虚血がひどくなり症状が増強することが多いです。肘付近から上腕につくられたシャントや人工血管で発生頻度が高いとされています。   スチール症候群の治療  重症例は手術療法が必要で、シャントの吻合位置、血流や血管の状態、スチールの程度、患者さんの全身状態を考慮したうえで最適な術式が選択されます。