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食塩の過剰摂取と体重増加

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  今回は食塩の過剰摂取と体重増加について 食塩と口渇のメカニズム   食塩の過剰摂取によって血中のナトリウム濃度が上がると、血漿浸透圧が高くなります。それが視床下部の浸透圧受容体に感知されると、同じく視床下部の口渇中枢が刺激され、のどの渇きを引き起こします。  飲水によって体液が増加すると、血漿浸透圧が正常になり口渇がおさまります。 食塩と体重増加   過剰な食塩摂取は飲水行動を引き起こし、体重が増加します。ほとんど尿が出ない透析患者さんは摂取した水分が溜まってしまい、溜まった水分を透析によって取り除くことで ( 除水 ) 、体の水分を調節します。しかし透析で取り除ける水分には限度があります。  体内の水分が過剰になると、高血圧や浮腫、肺水腫やうっ血性心不全を起こす場合や、急速な除水による血圧低下の原因になります。 食塩摂取量   透析患者さんは日本透析医学会のガイドラインでは 1 日の平均食塩摂取量は 1 日 6g 未満が推奨されています。 減塩で気をつける物 ・ 漬物やキムチ、明太子など …ご飯のおともは食塩を多く含みます。 ・ しょうゆやドレッシングなどの調味料をかけすぎていないか ・ 汁物を毎食飲んでいないか …汁物1杯には 約 1 ~ 2g の食塩が含まれていて、水分量も多くなっています。 ・ 麺類を多く食べていないか …麺類 ( 特にスープ ) には食塩が多く含まれていて、水分量も多くなっています。 ・ 丼ものや寿司、カレーライス、炒飯などの味付きのご飯をよく食べていないか …味がついたご飯は食塩量が多くなります。 ・ 加工食品を使用していないか …加工肉や水産加工品には食塩が多く含まれています。 ・ 間食や飲料の食塩 …菓子だけでなく、ジュースにも食塩が含まれています。  血清ナトリウム濃度は一定に保たれているため、 無尿の透析患者さんは食塩を約 8g ...

リン管理値5.5に!

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【重要】リンの目標値が「 5.5 」に!おいしく食べて、血管を若々しく保つコツ   今日は、皆さんに大切なお知らせがあります。 実は、 リンの管理目標値 が新しくなりました!   ********************************************************************************************************** 1. 新しい目標値は「 5.5 以下 」 これまでは「 6.0 以下 」が管理の目安とされてきましたが、 新しいガイドラインでは 「 3.5 〜 5.5 mg/dL 」 が目標となりました。   なぜ厳しくなったの? それは、リンが高い状態が続くと … 血管がカチカチ(石灰化)になる 骨がもろくなる かゆみが出る など、将来の体調に大きく関わるからです。 ********************************************************************************************************** 2. 「食べるな」ではなく「選ぶ」 「また制限が増えた … 」とガッカリしないでくださいね。 大切なのは、 「効率よくリンを控えること」 です。   特に気をつけたい「隠れリン」 加工食品に含まれる「添加物(無機リン)」は、体への吸収率がなんと 90% 以上! × ハム・ソーセージ × 練り物(さつま揚げ・ちくわ等) × ベーキングパウダー(蒸しパン・スコーン・マフィン等) × インスタントラーメン × チーズ これらは、できるだけ控えると数値が改善します。   ********************************************************************************************************** 3. 今日からできる! 3 つの工夫   ① 「ゆでこぼし」でリンをカット ハムやソーセージはカットしてからさっと茹でこぼすとリンが少し抜けます...

虚血性心疾患

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  今回は虚血性心疾患 ( 狭心症、心筋梗塞 ) について   虚血性心疾患とは  虚血性心疾患とは、心臓に血液が行き届かなくなって心筋の酸素やエネルギーが不足してしまう病気の総称です。代表疾患は 狭心症 や 急性心筋梗塞 があります。透析患者さんは虚血性心疾患の有症率が高く、高頻度で死亡原因になります。     狭心症と心筋梗塞 一般的な動脈硬化は動脈の内膜に血液中の悪玉コレステロールが沈着した状態で、アテローム動脈硬化、粥状動脈硬化といいます。プラークによって血管が狭くなり、これが冠動脈で起こった場合、心臓に供給する血液が少なくなり、 狭心症 を発症します。運動時に胸痛が起こる労作性狭心症と、安静にしていても胸痛が起こる安静時狭心症に分けられます。さらにプラークが壊れ、そこに血栓ができて血管が完全に詰まると、 心筋梗塞 に至ります。 急性心筋梗塞の症状としては、前胸部の痛み、圧迫感、左肩への放散痛、背部痛、心窩部痛などがあります。 予防するには 食事指導や服薬指導で カルシウム、リンのコントロール や 高血圧・糖尿病などの危険因子の管理 をしっかりと行い、動脈硬化を予防することが重要です。さらに、透析患者さんに急に心不全徴候が出たり、透析中に低血圧が頻繁にみられるようになったら、ドライウェイトの調整だけでなく、心血管リスクについても検討します。

血清脂質

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  今回のテーマは血清脂質 ( コレステロール ) について   コレステロールについて コレステロールなどの脂質は血液中で、蛋白と結合した「リポ蛋白」として存在します。リポ蛋白にはいくつかの種類があり、それぞれ独自の作用を持っています。 ( カイロミクロン、 VLDL 、 IDL 、 LDL 、 HDL) LDL( 悪玉コレステロール ) の一部は炎症の原因や、血管壁にコレステロールを沈着させる原因になります。 HDL( 善玉コレステロール ) は血管壁のコレステロールを引き抜く作用を持ちます。 血清脂質の目標値 ・ LDL コレステロール:< 120 mg/dL ・ non-HDL コレステロール ( 総コレステロール- HDL コレステロール ) :< 150 mg/dL ・総コレステロール:≧ 130 mg/dL 目標値は、コレステロールを低下する目的、心疾患の新規発生を予防する目的、心血管疾患の再発を予防する目的や、他の心血管リスクファクターの有無によっても異なります。   コレステロールが高値、低値のとき コレステロール高値では生活習慣の改善、薬物療法などがありますが、透析患者さんでコレステロールの低下によって予後が改善したという報告はあまりありません。また低栄養では総コレステロールが低下します。栄養状態が低下している場合は、積極的な栄養接収が行われます。

標準化蛋白異化率(nPCR)について

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  標準化蛋白異化率 (nPCR) とは  標準化蛋白異化率 (nPCR) は体重 1kg あたりの一日に産生される尿素窒素の量を示していて、食事における蛋白摂取量の指標になります。透析では栄養状態の評価に用いられ、目標値は 0.9 ~ 1.2g/kg/ 日です。   どういうときに変化する? 血清アルブミン値よりも鋭敏に反応し、高値の場合には蛋白摂取量が多いこと、異化亢進状態にあると考えられます。また、低値の場合には食事摂取量、とくに蛋白摂取量が少ないことが考えられます。  日本腎臓医学会で推奨されている蛋白摂取量は標準体重あたりの摂取量ですが、 nPCR は透析後の体重あたりの値のため認識が異なります。   低値の場合の対策 低値の場合には食事内容を把握し、食事摂取量が十分か確認します。食事摂取量が不十分な場合にはどのようにすれば食事量が増やせるか検討し、場合によっては栄養補助食品の使用も検討されます。

重炭酸イオンとアシドーシス

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重炭酸イオンとアシドーシスについて   代謝性アシドーシスって何? 健康な人は血液や体液の緩衝作用、呼吸、腎臓による調節によって、血液の pH( ペーハー ) が弱アルカリ性に保たれています。しかし、腎機能が低下すると、酸の排泄障害が起こり、血中から重炭酸イオン (HCO 3 - ) が失われ、血液の pH が 7.35 以下に低下します。このように 血液が酸性に傾いた状態 を『 代謝性アシドーシス 』といいます。   代謝性アシドーシスの影響 代謝性アシドーシスの症状は、 嘔吐や吐気、疲労感 などや、酸性に傾いた緩衝作用として骨の脱灰や筋肉の分解など、様々な組織障害や細胞機能が生じます。その結果、日常生活動作 (ADL) の低下や生命予後が悪化します。 HCO 3 - が低値の場合は、透析不足や代謝性アシドーシスになる原因の精査が必要です。 HCO 3 - が透析不足のみで低値になるわけではありませんが、十分な透析ができているかどうかを判断するうえで重要な値です。   代謝性アシドーシスの対策 透析患者さんは重炭酸 (HCO 3 - ) などのアルカリ化剤を含む透析液を使用した透析により、慢性代謝性アシドーシスを管理しています。日本では透析液の HCO 3 - 濃度は 25 ~ 35mEq/L に設定されています。

圧力の単位mmHgについて

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  今回は圧力の単位 mmHg について   血圧 ( 圧力 ) の単位 普段血圧が 120 といった数字で言いますが、正確には 120mmHg となります。 [mmHg] は [ ミリメートルエイチジー ] または [ ミリ水銀 ] といいます。   mmHg の Hg とは何でしょう? Hg とは“水銀”のことです。 圧力を測るのに水だと 高さが上がりすぎる ので、水銀を使用した時の高さで表します。 血圧が 120mmHg というのは、針を上がってくる水銀が 120mm 、すなわち 12cm の高さになるということです。 水銀 (Hg) は比重 ( 重さ )13.6g/mL で水の 13.6 倍なので、 水銀圧 120mmHg は水圧に換算すると 120 × 13.6 = 1632mm( 約 163cm ) にもなります。   血液の比重 ( 重さ ) は水とそれほど変わらないので、 血圧が 120mmHg というのは血液を約 163cm の高さまで上げる圧力になります。

静脈高血圧

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  今回のテーマは静脈高血圧について 静脈高血圧とは  シャント血管の狭窄や閉塞が原因でうっ血や血液の逆流が起こると、末梢循環障害によってシャント肢に浮腫・疼痛などの症状が出現します。これを静脈高血圧といい、狭窄 ( 閉塞 ) 部位より末梢側の手が腫れます。   静脈高血圧になると  狭窄の場所によって、 シャント肢全体や手指の浮腫、指先の疼痛、シャント血管の怒張 などがみられます。重症になると末梢の血行障害による潰瘍や壊死を来すこともあります。また再循環により透析効率が低下し、採血データが悪くなる場合もあります。   静脈高血圧の治療  静脈高血圧の原因は狭窄・閉塞のため、治療は狭窄部位に対する経皮的血管形成術 ( PTA ) をはじめとした血管内治療が第一選択になります。コントロール困難な場合は、シャント閉鎖術を施行しなければならないこともあります。     ~ソアサム症候群~  ソアサム症候群はシャントの逆流によって手指が腫れるものです。シャントの吻合部からすぐ中枢の血管に高度の狭窄があると、シャント血が逆流して手首から末梢に腫脹を生じます。ソアサム症候群は側々吻合で発生しやすいです。

スチール症候群

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  今回のテーマはスチール症候群について 血流低下による手指の痛みやしびれ、または冷感 スチール症候群とは  スチール症候群は、手先への血流がシャントに盗血 ( スチール ) されるために起こる血流障害です。末梢に流れるはずの血流がシャントに向かうため、シャント吻合部より末梢の動脈血流が低下し、末梢循環障害を来すことで起こります。 ス チール症候群になると 手先への血流低下による虚血によって、 冷感やしびれ、痛み、末梢のチアノーゼ を引き起こし、重症化すると皮膚の腫瘍形成・壊死を起こします。  透析中は血流ポンプにより血液が吸引されるため、末梢の虚血がひどくなり症状が増強することが多いです。肘付近から上腕につくられたシャントや人工血管で発生頻度が高いとされています。   スチール症候群の治療  重症例は手術療法が必要で、シャントの吻合位置、血流や血管の状態、スチールの程度、患者さんの全身状態を考慮したうえで最適な術式が選択されます。

亜鉛と銅について

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今回のテーマは亜鉛と銅について   亜鉛と銅について   亜鉛と銅は人体に必要な微量元素です。亜鉛は多くの酵素がその活性をもつために必須の微量元素です。亜鉛が欠乏すると貧血、 味覚障害 、炎症、酸化ストレスなど様々な病態と関連します。銅は過剰になると炎症や酸化ストレスを進める方向にはたらき、欠乏すると貧血、汎血球減少の原因となります。   透析患者さんと微量元素 透析患者さんは食事からの摂取量減少や腸管からの吸収機能の低下、透析による喪失、リン吸着薬による吸着により、亜鉛が欠乏しやすくなっています。また、亜鉛の過剰状態では銅の吸収が低下し、低銅血症の原因となります。よって亜鉛治療中は必ず銅を測定します。 基準値 亜鉛: 80 ~ 130 μ g/dL 銅: 68 ~ 128 μ g/dL 対策 不足している場合には、食事からの摂取 ( 亜鉛は牡蠣、銅はココアに多く含まれる ) が行われます。改善しない場合には、亜鉛は経口薬が投与されます。その際、亜鉛製剤の副作用として銅や鉄欠乏には注意する必要があります。 ノベルジン ® 錠 特徴 投薬開始時および容量変更時には血清亜鉛濃度の確認を行います。亜鉛は吸収時に鉄や銅と拮抗的にはたらくため、亜鉛濃度が高くなると鉄や銅は吸収されにくくなります。亜鉛を長期投与中は、銅や鉄欠乏に注意が必要です。 注意点 空腹時に服用すると、悪心・嘔吐などの消化器系副作用が出現しやすくなるため、食後に服用します。本剤を服用中に亜鉛サプリメントは服用してはいけません。 副作用 銅欠乏症、消化器症状、肝胆道系障害、急性膵炎、 血清鉄減少、アルブミン減少、掻痒症、頭痛、咳嗽など

下肢つれとカルニチン

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  下肢つれとカルニチンについて 透析患者さんはとくに、透析中に下肢痙攣 ( 足のつり ) が出現することが多くみられます。透析中に筋痙攣が起こることがありますが、多くの場合透析により除水が進んだ状態や血圧低下時に起こることが多いため、筋肉に栄養を取り込む血流の関与が考えられています。 透析により急速に除水を行い、それに見合った血管外から血管内への体液の移行がない場合や、ドライウエイトが低すぎる場合には、透析が進むと血管内の血流量が過度に減少します。すると、筋肉に十分な血液が行き届かなくなり、筋肉の血流障害が生じて筋痙攣が誘発されると考えられています。 また、血液中の電解質 ( ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなど ) や エネルギー代謝に必要な L- カルニチンの濃度が低くなった場合も、筋痙攣が起こりやすくなる ことが一般的に知られています。 血圧低下  透析後半は血管内が脱水傾向となり血圧が低下します。その結果筋肉への血流が低下し、筋痙攣を生じます。筋痙攣は非透析日にも起こり、ドライウエイトの設定が厳しいことなども原因として考えられます。   電解質異常 低カルシウム血症  活性型ビタミン D の不足やカルシウム受容体作動薬の使用中に低カルシウム血症になりやすく、これらは下肢つりの原因になります。 低カリウム血症  筋痙攣は血清カリウム濃度が 2.5mEq/L 以下で出現しやすいとされています。 低マグネシウム血症  慢性下痢や低栄養の患者さんは低マグネシウム血症によって筋痙攣を生じることがあります。また低マグネシウム血症と低カリウム血症は関連しており、どちらかが生じている場合は、他方も生じていないか確認が必要です。   カルニチン欠乏 透析患者さんはカルニチンが欠乏している状態です。カルニチンは、 4 ~ 5 時間の血液透析によって透析膜を介して容易に除去されます。また透析患者さんは食事制限によって L- カルニチンの摂取自体も少なくなっています。カルニチンは脂肪をエネルギーとして使うのに重要なはたらきをします。欠乏すると筋細胞で十分なエネルギー産生ができず、筋痙攣や低血圧を生じます。 透析中に筋痙攣が出現した場合は除水を停止し、血圧低下を伴うことも多...

カルニチン

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  今回のテーマはカルニチンについて カルニチンとは カルニチンは脂肪酸の代謝に必要不可欠な生体内物質で、必須アミノ酸のリジンとメチオニンから合成されます。透析患者さんは腎臓でのカルニチン産生低下や食事からの摂取量減少、透析での喪失によりカルニチンが欠乏しやすくなっています。体内での合成は 25% にすぎず、 75% が食事 ( 肉に含まれる ) に由来するとされています。 血中にはカルニチン単独の状態 ( 遊離カルニチン ) 、脂肪酸と結合した状態 ( アシルカルニチン ) の 2 つの状態で存在します。 基準値 カルニチンの基準値 総カルニチン: 45 ~ 91 μ mol/L 遊離カルニチン: 36 ~ 74 μ mol/L アシルカルニチン: 6 ~ 23 μ mol/L 遊離カルニチン濃度が < 20 μ mol/L の場合、カルニチン欠乏症と診断されます 摂取量の減少、血液透析による除去、薬剤 ( 抗けいれん薬、抗菌薬など ) 、まれに先天性代謝異常で低下します。また、肝不全・肝硬変、横紋筋融解症、カルニチン製剤の過剰投与によって血中濃度が上昇します。 カルニチン欠乏症は貧血、低心機能、透析中低血圧、下肢つりなどと関連しているといわれています 。 対策 食事摂取量を確保するほか、欠乏症の場合は静注製剤として投与されます。心疾患の原因とも考えられるトリメチルアミンがカルニチンから腸内細菌で合成されるため、経口製剤の過剰投与は避けたほうが良いとされています。   レボカルニチン製剤 薬剤名 一般名 特徴 エルカルチン ®FF 静注シリンジ レボカルニチン 他の錠形 : 錠剤、内服液。インスリン製剤や経口糖尿病治療薬で治療中の糖尿病患者さんへ投与する場合は、低血糖の恐れがあるため、モニタリングするなど慎重に投与する。投薬中は定期的にバイタルサインや臨床検査、カルニチンの欠乏状態のモニタリングを行います。