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心胸比

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 透析をしていてドライウエイトという言葉をよく耳にすると思います。 体に含まれる水分量は、正常な腎機能では 尿量が自動的に調節されて一定の水分が維持され、 短時間では体重も一定になります。 しかし末期腎不全の患者さんは尿量調節が上手くいかず、 水分と老廃物が体に溜まっていきます。 そのため適切な水分量となっている体重を決めてあげる必要があります。 この設定した体重をドライウエイトと言います。 そんなドライウエイトは色々な所見を総合的に考慮して決定します。 ○心胸比(cardio thoracic ratio:CTR) ○胸部エックス線で肺に水が溜まってないか ○血圧の上昇、低下がないか ○透析後に浮腫みがないか ○体内の水分量の測定値(クリットラインモニタ、心臓超音波検査) ○採血結果(BNP、hANP(心臓に負担がかかった時に多く分泌されるホルモン)) 心胸比とは 多くの場合水分の貯留によって体重が増加し 心不全となる傾向にあるため、ドライウエイトの指標として心胸比(CTR)がよく用いられます。   心胸比とは胸部エックス線検査で、胸郭の横幅と心臓の横幅を測定し、 そのうち心臓の占める割合が何%であるかを表したものです。 透析患者さんの基準値は 男性で50%以下 、 女性で55%以下 です。   透析室では月に1度心胸比を測定し、 体内の水分量が適切であるかどうかを調べ、 ドライウエイトを決める際の一つの指標としています。 ただし心胸比だけではかなりばらつきが大きい数値であるため、 他の指標も取り入れた評価が必要です。

8月第1週の献立表(7月27日~8月8日)

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三保の森クリニックで、患者様にご提供しているお食事をご紹介します。 いわゆる『透析食』は、水分・塩分・リン・カリウム等の制限が多い食事となります。 『我慢』が必要な食事は、やっぱりどこか寂しいもの。 当クリニックでは、患者様にとってお食事が楽しみであり続けられるよう、 母体病院である赤枝病院の栄養士が知恵を絞り、更に栄養課にて心を込めて作っています。

手洗いうがいをしましょう

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5/25に緊急事態宣言が解除されましたが、 まだまだ油断できない日々が続いています。 今回手洗い強化のため、手の洗い方について再度掲示いたしました。 新型コロナウイルス感染者は増加傾向にあります。手洗いうがい等しっかり予防対策をしましょう。

7月第3週の献立表(7月13日~7月25日)

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三保の森クリニックで、患者様にご提供しているお食事をご紹介します。 いわゆる『透析食』は、水分・塩分・リン・カリウム等の制限が多い食事となります。 『我慢』が必要な食事は、やっぱりどこか寂しいもの。 当クリニックでは、患者様にとってお食事が楽しみであり続けられるよう、 母体病院である赤枝病院の栄養士が知恵を絞り、更に栄養課にて心を込めて作っています。

低血圧

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前回の高血圧と反対に、 透析中血圧が下がってしまうことも大きな問題です。 透析患者さんに起こる低血圧を透析関連低血圧といいます。 透析関連低血圧は透析中に血圧が低下する 透析低血圧、 透析後に起き上がった時に血圧が低下する 起立性低血圧、 透析とは関係なく常に血圧が100[mmHg]未満となる常時低血圧の3つに分けられます。 その中でも問題となるのは透析低血圧で、 透析中血圧が20[mmHg]以上低下し症状を伴う場合をいいます。 血圧は心臓が血液を送り出す量(心拍出量)と 末梢血管抵抗のかけ算で表せるので、 血圧が低下する場合 ①心拍出量が低下する ②末梢血管抵抗が減少することを意味します。 ① 心拍出量の低下   心拍出量の低下とは循環血しょう量(血液の血球以外の液体成分)の減少、 もしくは心機能の低下のことです。 循環血しょう量減少の原因としては除水の速度が速すぎることや、 ドライウエイトが低いことがあげられます。 ② 末梢血管抵抗の減少 末梢の血管抵抗の減少は糖尿病や動脈硬化症による 自律神経障害(血圧低下を防止するための末梢血管の収縮が生じない)、 透析温度上昇による血管の拡張、 抗凝固薬やダイアライザーに対するアレルギー、 感染症、降圧薬等により起こります。 起立性低血圧の原因も自立神経障害です。 また貧血になると血液がサラサラになるため 血管抵抗が低くなり血圧が低くなりやすくなります。 症状について   血圧低下時の症状は 欠伸や倦怠感、吐き気、発汗、筋痙攣など症状は様々で、 急激な低血圧の場合ショックを起こして意識消失することもあります。 透析中の低血圧の予防法   血圧が下がる場合原因を考えることが大切です。 除水量が多い場合は体重増加を抑えたり、 透析時間を長くしてゆっくり除水を行います。 起立性低血圧の場合は終了後すぐに立ち上がらずに しばらく休んで徐々に立ち上がります。 また除水だけを行う体外限外濾過法(ECUM)の併用や 透析温度を下げることで低血圧を防ぐことができる場合があります。 それでも効果がなければ昇圧薬を検討します。 高血圧と同様に、合併症を予防するために適切な体重管理が大切です。 ・透析中の血圧低下の一番の原因は除水量が