突然発症する痛みを伴った下肢筋のつれは、 強直性の筋収縮で「筋硬直」ともいいます。 下肢のつれは透析治療に伴う急性の合併症の一つで、 透析中終盤に症状が現れることが多いです。 下肢つれには多くの因子が関与しますが、 最大の要因は総除水量が多い、 除水速度が速いことで、多くは血圧低下を伴います。 急速、過剰な除水を避けることが重要で、 除水速度は「 体重 (kg) × 15mL/h 」を目安とされています。 発症時には生理食塩液の急速な補充を行います。 尿素窒素やナトリウムなどの浸透圧物質が除去され、 血漿浸透圧が低下することも原因の一つで、 10% 塩化ナトリウム溶液や 50% ブドウ糖液などの 高張液を血液回路内へ注入する場合もあります。 その他に、透析液の使用に伴うアルカリ化で、 イオン化カルシウム濃度が低下することも原因となります。 高張液の注入で改善しなければ 8.5% グルコン酸カルシウム液の注入を試みます。 また、食事が不十分で低マグネシウム血症、 低カリウム血症の患者さんも下肢つれが起きやすいです。 下肢つれを予防する方法として漢方の芍薬甘草湯の内服や、 下肢筋肉への血流を促すよう下肢の軽い運動 ( 足踏み ) をしたり、 温めることも効果があるとされています。