不均衡症候群

今回は不均衡症候群についてお話します。 不均衡症候群とは透析導入間もない時期に、 透析中や透析後に出現する頭痛や嘔吐などの症状のことを言います。 腎不全の患者さんは、体に余分な水分や毒素、 余分な電解質がたまっている状態です。 健康な人は毎日24時間常に腎臓が機能して余分なものがたまりにくくなっています。 しかし、腎不全の患者さんは、余分なものを排出する機会は 血液透析を行う週3回4時間程しかありません。 週3回4時間の血液透析で余分なものを浄化しようとするので、 短時間で大掃除を行う必要があるのです。 血液浄化は血液と透析液が半透膜を介して接する ダイアライザー(人口腎臓)で余分なものを浄化しますが、 きれいにしているのは血液だけではありません。 血液がきれいになると、細胞間からも余分なものが 血管内に移動し、それをきれいにしています。 これを繰り返して体の余分なものを除去しています。 しかし余分なものが移動しやすい場所と、 奥深く移動に時間がかかる場所があります。 脳は移動に時間がかかるため、 水分の移動による差で脳浮腫が発生して、 脳圧が亢進し、頭痛や嘔吐といった症状が現れます。 不均衡症候群は通常一過性で数時間以内に自然に改善します。 透析に慣れていない透析導入初期の患者さんは 症状が出現しやすいため、ダイアライザーの膜面積を小さくしたり、 血流量を少なくしたり、短時間・頻回の透析を行うなどして 透析効率を抑えて不均衡症候群を予防します。