膜による血液浄化












血液浄化の原理について。
血液透析(HD)はダイアライザーという医療機器の中で、
血液と透析液の間にある半透膜(水分と小さな物質のみ通過できる膜)を介して毒素、
水分の除去を行い不足している物を補っています。
その原理は『拡散』と『限外濾過』という2つの作用によるものです。

  拡散
ブドウ糖を水(溶媒)に溶かした時、ブドウ糖液を溶液、ブドウ糖を溶質といいます。
一般に溶質が溶液中で均一ではなく混ざっている時、溶質は濃度の高い部分から低い部分へ、
溶媒である水は濃度の低い部分から高い部分へ濃度が均一になるように移動します。
前者を拡散といい、後者を浸透といいます。
1のように中身の違う2つの溶液の隔壁を微細な穴が開いた膜に置き換えると、
穴より小さい溶質は両溶液中の溶質濃度が同じになるまで移動します。















②濾過
2の左の状態で溶液Aに力を加える(陽圧)か、溶液Bを引っ張る(陰圧)と、
溶液Aの一部が膜を通って移動します。これを濾過といいます。

HDでは治療の目的からある程度大きいタンパク成分の移動は阻止し、
血漿水成分を膜の反対に移動させ除去します。この時の膜の微細な穴は数nm(10億分の1メートル)
という小ささで、このような微細な穴の膜を使った膜分離を限外濾過といいます。













 
 
 
HDにおける分離と物質交換
HDでは膜の片側に患者様の血液を、反対側に透析液を流し、
半透膜を介して血液側から透析液側へ、尿毒素・水分の除去を行い、
また電解質(Na⁺、K⁺、Cl⁻等)のバランス異常の是正を行います。
透析液側からは生体に必要な物質(Ca²⁺、HCO₃⁻)が移動します。(3)


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