ダイアライザー











血液透析は、患者血液を体外循環しダイアライザー(血液透析器)に
通し不要物質の除去、必要物質の補充を行う治療です。
今回は治療に使われるダイアライザーについてのお話です。

~ダイアライザーの構造~
現在透析で使われているダイアライザーは、
中空糸型と呼ばれる形が多く使われています。
中空糸型は中空糸状(ストロー状)の透析膜の中を血液が流れ、
外側を透析液が反対方向に流れ物質の交換が行われます。(図1)

中空糸1本あたりの内径は200μmと非常に細く、膜の厚さは10~50μm程。
そしてその細いストロー状の中空糸がダイアライザーの中には3000~15000本詰められています。(図2)



~ダイアライザーの膜素材~  
透析の膜はセルロース系膜と合成高分子膜の2つに大別されます。
それぞれの特徴を見てみましょう。
a.セルロース系膜
・親水性で水に馴染みやすい
・膜の強度が高いので薄い膜ができ、その為小型化が可能である
・小分子量物質の除去に優れる(最近では中分子量物質の除去もできる)
・生体との適合性は合成高分子膜に比べ劣る

b.合成高分子膜
・生体との適合性がよい
・低分子蛋白(β2-MGなど)まで除去できる

セルロース系膜は概ね緻密層の均一な膜構造をしています。
それに対し、合成高分子膜は図3のような非対称構造をしており、
非対称構造は多孔性の支持層と緻密層の二重構造になっています。
多孔層は機械的強度を与え、緻密層は水や物質の透過性など物質の移動を決めています。










~ダイアライザーの選択方法~
ダイアライザーの選択は以下の要素をふまえて考えます。
・膜面積、血液充填量
・膜素材
・患者さんの状態

① 透析導入期  
  導入期は不均衡症候群が起こりやすい為、
  面積が小さく毒素の抜けが緩やかな物を用います。
② 小児・高齢者   
  体外循環開始直後の血圧低下を防ぐために、
  膜面積の小さい物、血液の充填量の少ないものを用います。
③ 維持透析患者  
  患者さんの活動量、食事量、血液検査の結果、
  また合併症やそれらの原因となる物質の除去能などを考慮し選択します。

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