高血圧
高血圧は透析患者さん、非透析患者さんともに多い病態です。 今回はそんな高血圧についてのお話です。 非透析患者さんの高血圧は本態性高血圧と呼ばれ、 遺伝的要因や肥満、過食、運動不足による高インスリン血症、ホルモン系の 制御異常などによるナトリウム排泄異常が主な原因です。 一方で透析患者さんの場合約70%以上で高血圧を合併し、 透析患者さんにおける高血圧の原因も複数の因子が関係しています。 ① 体液量 体液量(体の水分)増加は透析患者さんの血圧上昇の最も重要な要因です。 腎機能低下により食塩(ナトリウム)の排出が極めて少ないので体に蓄積され、 蓄積に対応して体液量が増加し高血圧が引き起こされます。 ② 尿毒症 尿毒症は骨・ミネラル代謝異常による動脈硬化を起こします。 また交感神経の活性化をもたらし、血圧上昇に関与します。 ③ レニン‐アルドステロン系 循環血液量減少によって腎臓が血圧低下を感知して、 レニン‐アンジオテンシン‐アルドステロン系というホルモン系の 活性による血管収縮作用が高血圧の原因となります。 週はじめ透析前血圧 140/90mmHg 以上 また高血圧を予防する、もしくは適切に管理するためには以下のことが重要になります。 〇生活様式の改善 食塩の過剰摂取はナトリウムの貯留によって 体液量の増加につながるため、適切な食塩摂取が求められます。 透析患者さんの望ましい食塩摂取量は1日3~6gとされています。 〇適切な体重管理 高血圧を予防するために、透析間の体重増加は 中1日でドライウエイトの3%以内、中2日で5%以内とすることが望ましいです。 〇適切な降圧薬の使用 体重増加を適切にしても高血圧の場合は、 必要に応じて様々な降圧薬を組み合わせて使用します。