心胸比

透析をしていてドライウエイトという言葉をよく耳にすると思います。 体に含まれる水分量は、正常な腎機能では 尿量が自動的に調節されて一定の水分が維持され、 短時間では体重も一定になります。 しかし末期腎不全の患者さんは尿量調節が上手くいかず、 水分と老廃物が体に溜まっていきます。 そのため適切な水分量となっている体重を決めてあげる必要があります。 この設定した体重をドライウエイトと言います。 そんなドライウエイトは色々な所見を総合的に考慮して決定します。 ○心胸比(cardio thoracic ratio:CTR) ○胸部エックス線で肺に水が溜まってないか ○血圧の上昇、低下がないか ○透析後に浮腫みがないか ○体内の水分量の測定値(クリットラインモニタ、心臓超音波検査) ○採血結果(BNP、hANP(心臓に負担がかかった時に多く分泌されるホルモン)) 心胸比とは 多くの場合水分の貯留によって体重が増加し 心不全となる傾向にあるため、ドライウエイトの指標として心胸比(CTR)がよく用いられます。 心胸比とは胸部エックス線検査で、胸郭の横幅と心臓の横幅を測定し、 そのうち心臓の占める割合が何%であるかを表したものです。 透析患者さんの基準値は 男性で50%以下 、 女性で55%以下 です。 透析室では月に1度心胸比を測定し、 体内の水分量が適切であるかどうかを調べ、 ドライウエイトを決める際の一つの指標としています。 ただし心胸比だけではかなりばらつきが大きい数値であるため、 他の指標も取り入れた評価が必要です。