動脈硬化

今回は透析患者さんと動脈硬化についてのお話です。 動脈は外膜、中膜、内膜の3つの層の構造になっています。 アテローム性動脈硬化は、血管内皮細胞が損傷されて修復する過程で、 コレステロールや脂肪の塊(プラーク)が内膜に蓄積し、 内膜が厚くなり動脈内腔が狭くなる病気です。 糖尿病や高血圧、脂質異常症(コレステロールや中性脂肪が高い)の人、 タバコを吸う人はアテローム性動脈硬化になりやすいです。 一方、中膜において石灰化が起こることをメンケベルグ型動脈硬化と呼びます。 透析患者さんは特にこの動脈硬化が進行しやすいです。 カルシウムとリンの蓄積、低栄養、貧血、全身の慢性炎症、 インスリン抵抗性、酸化ストレスなどが関係しています。 ・カルシウム・リン代謝異常 血中のカルシウム(Ca)やリン(P)濃度が上昇すると、 それらが骨以外の組織(血管、筋肉、関節など)に沈着する異所性石灰化が起きます。 Ca値とP値の積が55以上になると異所性石灰化が起きやすくなり、 予防にはPの制限、P吸着薬が重要になります。 このように、透析患者さんは動脈硬化の危険因子が多数あり、 虚血性心疾患や脳血管障害、下肢の末梢動脈疾患や心臓弁膜症が発生しやすいです。 そのため食事のリン摂取量や脂質の取りすぎ、 高血圧や喫煙といった生活習慣に注意しましょう。