腎性骨症

透析患者さんの骨折の頻度は、 同年代の健康な人と比べて数倍以上になることが分かっています。 高齢の透析患者さんは骨粗鬆症を合併していることが多く、 それに加えて透析患者さんは様々な理由で血液中のカルシウムの濃度が低下し、 カルシウム濃度を保つために骨からカルシウムが放出され、骨が脆くなります。 腎臓が悪くなると血液中のカルシウムやリンなどの ミネラルのバランスが崩れてしまいます。 慢性腎臓病では一般的に血液中のカルシウムが 不足となり、リンは過剰になります。 このとき、不足している血液中のカルシウムを骨から補うため、 骨からカルシウムの放出を促す副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌が増加します。 これを二次性副甲状腺機能亢進症といい、 PTHの分泌が増加した患者さんは、PTHが骨からカルシウムやリンを 溶かし出す結果、ミネラルが不足して骨がスカスカになってしまいます。 これにより骨の強度を決める骨量が低下します。 また、尿毒素物質の増加が骨の強度を決めるもう一つの骨質を低下させます。 このような、慢性腎臓病に伴うカルシウム、リン、PTHの 異常によって引き起こされる病態を 『慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常(CKD-MBD)』といいます。 インタクトPTHの管理目標は60~240pg/mLとなっています。