カルシウム

今回はカルシウム(Ca)についてのお話です。 Caというと思い浮かぶのは骨ですね。 Caは骨の形成に利用されますが、破骨細胞の働きで骨から血液中に 絶え間なく流出したり、血液中から骨形成に利用されたりしている流動的な存在です。 食事からのCaの吸収は活性型ビタミンDにより促進されます。 しかし腎機能低下に伴い、リンを排泄させるために 線維芽細胞増殖因子23(FGF23)が上昇し、 そのFGF23が腎臓でのビタミンD活性化を阻害するので、 腎不全の患者さんは腸管からのCa吸収量が低下します。 『慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドライン』 では血清補正Ca値の管理目標は 8.4~10.0mg/dl とされています。 Caは乳製品や小魚などに多く含まれていますが、 通常の食事でCaの過剰摂取になることは一般にはありません。 透析患者さんの多くはCa含有リン吸着薬や活性型ビタミンD製剤の使用が 高Ca血症の原因となります。高Ca血症は血管石灰化を介して心血管疾患や 死亡リスクの増大につながります。 また低Ca血症の原因として、 二次性副甲状腺機能亢進症に対して投与されるCa作動薬があり、 PTHの低下から高度の血清Ca値の低下を認めることもあります。 しかし軽度で無症候性の低Ca血症は、経過観察してもよいと 考えられるようになってきています。 血清Ca値を評価する際は血清アルブミン(alb)値の影響を考慮することが重要です。 細胞外液中のCaの約50%はalbなどの蛋白質と結合しているため、 低alb血症の場合はイオン化Caが正常範囲でも血清Ca値は低い値になります。 このため次の補正式を用いることが必要になります。 血清補正Ca値(mg/dL)=血清Ca値(mg/dL)+{4-血清alb値(g/dL)}