手根管症候群

 長期間透析を行っている患者さんはβ2ミクログロブリンという
蛋白質の尿中への排泄が減少し、透析で除去しきれない分が体内に蓄積していきます。
このβ2ミクログロブリンがアミロイドという繊維を作り、
それが全身の骨を主体とした各種臓器に沈着します。
これを透析アミロイドーシスといいます。  



 
















 手根管症候群はそのアミロイドーシスの一病態で、
アミロイドが手根管部の腱滑膜に沈着し、
その中を通る正中神経が圧迫されることにより生じます。
主に親指~中指、薬指の一部と手掌の感覚や運動に関与する正中神経が
圧迫されることで、神経の支配領域である部分に痛みや痺れをひき起こします。
痛みは夜間や透析中などの安静時に強くなることが多く、
症状が進行すると握力が低下したり、
拇指球筋という親指手掌側の付け根にある筋肉が萎縮して、
拇指対立運動(OKサイン)ができなくなったりします。  


















 透析アミロイドーシスは透析で完全に除去できないβ2ミクログロブリンが沈着し、
沈着したアミロイド繊維は取り除けないのでβ2ミクログロブリンの蓄積を
どれだけ抑制するかという予防が大切になります。
そのため透析液の清浄化や生体適合性の良い透析膜の使用、
β2ミクログロブリンの除去性能向上が重要となります。  











β2ミクログロブリンを吸着するカラム(リクセル)も開発されていますが、
透析歴10年以上、手根管開放術の既住があるなどの保険適用条件があります。




コメント