透析患者さんと鉄について

今回のテーマは透析患者さんと鉄について

は赤血球造血などに必要な微量金属で、健康な成人の体内には

約3000~5000mgの鉄が存在し、そのうち60~70%はヘモグロビン(Hb)鉄で、

その残りの約1000mg程度は「貯蔵鉄」として肝臓や網内系に蓄えられています。

SAT、フェリチンって何?

・TSATとは
血清鉄はトランスフェリンと呼ばれる蛋白質と結合しており、トランスフェリンの総量を総鉄結合能(TIBC)、血清鉄と結合していないトランスフェリンを不飽和鉄結合能(UIBC)といいます。TIBCの中で鉄と結合している割合をトランスフェリン飽和度(TSAT)といい、鉄動態の指標として用いられます。

・フェリチンとは

フェリチンはほとんどの細胞内に存在する鉄結合蛋白質で、

トランスフェリンが運んでくる鉄を無毒化して細胞内に保存します。

鉄が必要な場合は供給して調節し、鉄不足と鉄過剰を抑える役割があります。

フェリチンは細胞内の鉄の過不足により制御されていて、

血清フェリチン値は細胞内の貯蔵鉄の状態の指標とされています。

鉄補充療法の開始基準

血清フェリチン値とTSATの評価はESA(赤血球造血刺激因子製剤)を投与しているかで

異なります。『日本透析医学会 慢性腎臓病における腎性貧血治療のガイドライン』では

ESAを投与していなく、目標Hbを維持できていない患者さんは、

血清フェリチン値50ng/mL未満を基準にESA投与に先行した鉄補充療法を提案します。

ESA投与中であれば血清フェリチン値100ng/mL未満かつTSAT20%未満の場合に

鉄補充療法が推奨されています。鉄利用率が低下する病態が認められず

血清フェリチン値100ng/mL未満もしくはTSAT20%未満のいずれか1つを満たす場合には

鉄補充療法が推奨されます。



 


コメント