昇圧薬について

 今回のテーマは昇圧薬について

昇圧薬の作用

  α、β受容体刺激薬

心臓や末梢血管にある交感神経に直接作用することで血圧を上昇させます。

エホチール®

一般名:エチレフリン塩酸塩

半減期:22.5時間(健常者)

透析性:透析では除去されにくいと考えられる

用法・容量:10.21mLを皮下注射、筋肉注射または静脈内注射する

他の錠形:錠剤

副作用:心悸亢進、口渇、悪心、頭痛など

特徴:作用発現が早く、透析中の血圧低下時に血圧を維持する目的で使用されます。


  選択的α1受容体刺激薬

末梢血管にある交感神経を刺激することで、血管を収縮させて血圧を上昇させます。

メトリジン®

一般名:ミドドリン塩酸塩

半減期:1時間(健常者)

透析性:除去されやすい

用法・容量:14mg2回に分けて経口投与する

他の錠形:口腔内崩壊(OD)

副作用:眠気、頭痛、心室性期外収縮など

特徴:服用23時間後に最大昇圧効果が得られるため、

透析中の血圧低下を防止する目的であれば、透析開始1時間前に服用されることが多いです。


  ノルアドレナリン再取り込み阻害薬

ノルアドレナリンの神経終末への再取り込み抑制と、神経終末におけるノルアドレナリンの不活化抑制により、交感神経機能を亢進させて血圧を上昇させます。

リズミック®

一般名:アメジニウムメチル硫酸塩

半減期:非透析時25.9時間、透析時19.2時間

透析性:除去されにくいと考えられる

用法・容量:透析施行時の血圧低下の改善には、透析開始時に110mgを経口投与する

他の錠形:なし

副作用:動悸、めまい、悪心、ほてり感など

特徴:服用してから約2時間後に最大昇圧効果が得られるため、

透析開始時に服用されることが多いです。

透析開始直後に血圧が低下する傾向の患者さんであれば、

透析開始2時間前に服用することもあります。


ノルアドレナリン前駆薬

服用後、体内でノルアドレナリンに変換され、血圧を上昇させます。

ドプス®OD

一般名:ドロキシドパ

半減期:1.5時間(健常者)

透析性:不明

用法・容量:起立性低血圧を伴う血液透析患者に、1200400mgを透析開始30分~1時間前に経口投与する

他の錠形:細粒

副作用:頭痛、動悸、悪心、血圧上昇など

特徴:吸収が遅く、作用発現に時間を要するため、透析後の起立性低血圧を予防するには透析開始30分~1時間前に服用する必要があります。また、重篤な末梢血管病変のある患者さんには禁忌です。

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