今回のテーマはカルニチンについて カルニチンとは カルニチンは脂肪酸の代謝に必要不可欠な生体内物質で、必須アミノ酸のリジンとメチオニンから合成されます。透析患者さんは腎臓でのカルニチン産生低下や食事からの摂取量減少、透析での喪失によりカルニチンが欠乏しやすくなっています。体内での合成は 25% にすぎず、 75% が食事 ( 肉に含まれる ) に由来するとされています。 血中にはカルニチン単独の状態 ( 遊離カルニチン ) 、脂肪酸と結合した状態 ( アシルカルニチン ) の 2 つの状態で存在します。 基準値 カルニチンの基準値 総カルニチン: 45 ~ 91 μ mol/L 遊離カルニチン: 36 ~ 74 μ mol/L アシルカルニチン: 6 ~ 23 μ mol/L 遊離カルニチン濃度が < 20 μ mol/L の場合、カルニチン欠乏症と診断されます 摂取量の減少、血液透析による除去、薬剤 ( 抗けいれん薬、抗菌薬など ) 、まれに先天性代謝異常で低下します。また、肝不全・肝硬変、横紋筋融解症、カルニチン製剤の過剰投与によって血中濃度が上昇します。 カルニチン欠乏症は貧血、低心機能、透析中低血圧、下肢つりなどと関連しているといわれています 。 対策 食事摂取量を確保するほか、欠乏症の場合は静注製剤として投与されます。心疾患の原因とも考えられるトリメチルアミンがカルニチンから腸内細菌で合成されるため、経口製剤の過剰投与は避けたほうが良いとされています。 レボカルニチン製剤 薬剤名 一般名 特徴 エルカルチン ®FF 静注シリンジ レボカルニチン 他の錠形 : 錠剤、内服液。インスリン製剤や経口糖尿病治療薬で治療中の糖尿病患者さんへ投与する場合は、低血糖の恐れがあるため、モニタリングするなど慎重に投与する。投薬中は定期的にバイタルサインや臨床検査、カルニチンの欠乏状態のモニタリングを行います。