今回のテーマは慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常 (CKD-MBD) 治療薬 ( ①リン吸着薬 ) について リンについて リンは骨や歯などをつくっているとともに、細胞の代謝に必要な成分です。通常は腎臓で調節されますが、腎機能が低下すると尿からリンが排泄されずに体に蓄積してしまいます。 リンが高いと 血中のリン濃度が高くなると血管に石灰化が起こり、動脈硬化が発生し、脳や心臓など様々な場所で循環障害につながります。また副甲状腺機能を亢進させてしまうため、骨が脆くなります。 リンは食事から取り込まれるため、リンの摂取量を減らし、消化管でのリンの吸収量を減らす食事療法が有効とされます。それに加えて薬物療法を行うことでより適切な濃度を保つことができます。 リン吸着薬 高リン血症に使われる薬としてリン吸着薬があります。リン吸着薬は食事から摂取したリンと消化管で結合し、吸収されるのを防ぎ、便とともに体外に排泄することで血中のリン濃度を低下させます。 薬剤名 一般名 特徴や注意点 カルタン ® 沈殿炭酸カルシウム 食直後に服用。錠剤、口腔内崩壊錠、細粒。カルシウムを含有したリン吸着薬。高カルシウム血症に注意。抗生物質の一部との併用は間隔を空ける。 ホスレノール ® 炭酸ランタン水和物 食直後に服用。チュアブル錠、顆粒、口腔内崩壊錠。リン吸着力が高い。抗生物質の一部との併用は間隔を空ける。 フォスブロック ® レナジェル ® セベラマー塩酸塩 食直前に服用。錠剤。透析患者さんのみ使用可能。電解質に影響を与えにくい。水分で膨張するため便秘や腹部膨満感が起こりやすい。腸閉塞がある患者さんは投与できない。 キックリン ® ビキサロマー 食直前に服用。カプセル、顆粒。消化系の副作用を軽減できる。他の薬剤の吸収を低下させる。腸閉塞がある患者さんは投与できない。 リオナ ® クエン酸第二鉄水和物